犬の呼び戻し「おいで」の教え方|来ない原因と練習のコツ

「おいで!」と何度も呼んでいるのに、こちらを一瞬チラ見してスルー…
「ドッグランで捕まえようとすると、遊んでくれると思って逃げ回る」
「お散歩中、地面の匂いを嗅ぎ落ちて絶対にこちらに戻ってこない…」
愛犬を呼んでも無視されたり逃げられたりすると、「どうして来てくれないの?」「私、信頼されていないのかな…」と寂しくなったり、焦ったりしてしまいますよね。
まず最初にお伝えさせてください。愛犬が来ないのは、あなたを嫌っているからでも、言うことを聞きたくないからでもありません。
わんちゃんにとって「おいで」は、大好きな匂い嗅ぎやお友達との遊びを中断する「ちょっと損な合図」になっているだけのことが多いのです。
呼び戻し(コマンド)は、単にお利口に見せるための芸ではありません。万が一お散歩中にリードが手から離れてしまったときや、玄関から飛び出しそうになったとき、愛犬の尊い「命」を交通事故やトラブルから守るための最重要スキルです。
この記事では、犬が「おいで」で来ない本当の原因から、室内でできる基本の5ステップ、遊び感覚で覚える楽しいゲーム、外での安全なステップアップ法まで、分かりやすく解説します!
「おいで」と呼んでも来ないとき、犬を責める前に確認したいこと
「おいで」と呼んでいるのに、犬がこちらを見ない。近づいてきても途中で止まる。そんなときは、「うちの犬は呼び戻しが苦手なのかな」と悩みますよね。
でも、犬が来ないからといって、必ずしも飼い主の言うことを聞きたくないわけではありません。今いる場所や周囲の刺激、呼ばれた後に起こることによって、犬が来にくくなっている場合があります。
まずは、次のポイントを確認してみましょう。
1.今の場所は、犬にとって難しすぎない?
家の中では来るのに、外やドッグランでは来ない場合は、周囲の刺激が多すぎる可能性があります。
ほかの犬のにおい、走っている人、鳥や車の音など、犬にとって魅力的なものが多い場所では、飼い主の声に集中することが難しくなります。
その場合は、いきなり刺激の多い場所で練習するのではなく、次のように段階を下げてみましょう。
- まずは静かな室内で練習する
- 犬との距離を近くする
- 周囲に人や犬が少ない場所を選ぶ
- リードをつけた状態で安全に練習する
- 成功が続いたら、少しずつ刺激を増やす
来ない場所で何度も呼ぶより、来られる場所で成功を増やすことが、呼び戻しの練習を進めるポイントです。
2.「おいで」の後に、嫌なことが起きていない?
犬は、呼ばれた後に何が起こるかも覚えています。
たとえば、「おいで」と呼ばれた直後に毎回リードをつけられる、遊びを終わらされる、叱られるといった経験が続くと、犬が「行くと楽しいことが終わる」と感じることがあります。
もちろん、散歩を終えるために呼び戻す場面もありますが、練習中は次のような工夫をしてみてください。
- 来たらすぐにほめる
- ごほうびを与えてから、もう一度遊ばせる
- 呼び戻した後も、楽しい時間が続く経験をつくる
- 叱るために「おいで」を使わない
「おいで」と呼ばれたら、飼い主のところへ行くとよいことがあると覚えてもらうことが大切です。
3.呼び方やごほうびが、犬にとって分かりやすい?
犬を呼ぶときは、何度も「おいで、おいで!」と繰り返すより、まずは一度、明るい声で呼んでみましょう。
犬がこちらを見たら、少し体を低くして、やさしく後ろへ下がりながら誘導します。近づいてきたら、すぐにほめてください。
また、ごほうびは犬が喜ぶものを選びます。普段のフードで十分な犬もいれば、特別なおやつのほうが集中しやすい犬もいます。
ただし、犬が来ないからといって、ごほうびを見せながら何度も追いかけるのは避けましょう。呼ばれたら自分から近づく練習を意識することが大切です。
来ないときは、無理に追いかけない
犬が来ないときに追いかけると、犬が「追いかけっこが始まった」と受け取ってしまうことがあります。
安全な場所であれば、飼い主が反対方向へ少し移動したり、しゃがんで楽しそうに声をかけたりして、犬が自分から近づきやすい状況をつくってみましょう。
ただし、道路の近くや逃走の危険がある場所では、追いかけるよりも安全確保を優先してください。屋外では、伸縮リードやロングリードを使う場合も、周囲の人や犬、自転車などに十分注意しましょう。
また、一度呼んだら必ず来るようになるわけではありません。 犬の年齢、性格、練習経験、周囲の環境によって、できるようになるまでの期間には差があります。
呼び戻しがうまくいかないときは、犬を責めるのではなく、
- 今の場所が難しすぎないか
- 呼ばれた後に嫌なことが起きていないか
- 呼び方やごほうびが分かりやすいか
を一つずつ見直してみましょう。
「おいで」は、犬が安心して飼い主のもとへ戻れるように、少しずつ信頼と成功を積み重ねていく練習です。
なお、急に呼び戻しに反応しなくなった場合や、耳を気にする、音に反応しにくい、痛がるなどの様子がある場合は、聴力や体調の変化が関係している可能性もあります。必要に応じて動物病院へ相談してください。
練習を始める前に!そろえておきたい準備物
まずは刺激の少ない「静かな室内」から練習をスタートします。
- 愛犬が大好きな「とっておきのごほうび(おやつ・おもちゃ)」
※普段フードをあまり食べない子は、匂いの強い特別なおやつ(茹でたささみやチーズなど)を用意すると成功率が跳ね上がります! - 静かで安全な練習スペース(リビングなど)
- 外で練習するためのリード・ロングリード(10m程度)
💡 飼い主さんへアドバイス
ごほうびはおやつだけではありません。「大好きな飼い主さんに思い切り褒めてもらえること」や「再び自由にして遊ばせてもらえること」も、わんちゃんにとっては最高のごほうびになりますよ!
これで完璧!犬の「おいで」を覚える基本の5ステップ
それでは、今日からおうちで試せる「呼び戻し」のステップをご紹介します。焦らず1ステップずつクリアしていきましょう!
ステップ1:名前を呼ばれたら「飼い主さんを見る」練習
いきなり「おいで」とは言いません。まずは「名前=イイコトが起きる」と教えていきます。
- 愛犬が別の方向を見ているときに、優しく名前を1回だけ呼ぶ
- こちらをチラッと見たら、その瞬間(0.5秒以内)に「そう!」「いいね!」と声をかける
- すぐにごほうび(おやつ)をあげる
これを繰り返し、「名前を呼ばれたら期待して飼い主さんを見る」状態をつくります。
ステップ2:1〜2歩の超至近距離で「おいで」と呼ぶ
目が合ったら、初めて「おいで」の合図を出します。
- 名前を呼んで目が合ったら、「おいで!」と明るいトーンで1回伝える
- 飼い主さんが後ろに1〜2歩下がりながら、体を低く(屈む)して腕を広げる
- トコトコ歩いて近づいてきたら、すぐに褒めてごほうびを与える
※犬がこちらに歩き出す動きを見せてから褒め始めるのがポイントです!
ステップ3:少しずつ距離を伸ばしていく
1〜2歩で10回中9回成功するようになったら、3歩、5歩、部屋の端から端へ…と少しずつ距離を伸ばします。
もし途中で来なくなったら「まだ距離が遠すぎた」というサイン。焦らず前の短い距離に戻して、成功体験を積み直してあげましょう。
ステップ4:来たら「首輪やハーネス」にやさしく触れる
「せっかく近くまで来たのに、捕まえようとしたら逃げられた」という失敗を防ぐための重要ステップです。
- 犬が近づいてきたら褒めながら、首輪やハーネスの下にそっと手を差し入れて優しく触れる
- 触れながらごほうびをあげる
- 「よし!」と合図を出して、すぐにまた自由にさせてあげる
「首輪を触られても捕まらない・嫌なことは起きない」と教えることで、逃げ惑う癖を防ぐことができます。
ステップ5:最後に「おすわり」をセットで教える
近くに来て首輪に触れられるようになったら、「おいで」の後に「おすわり」をさせてみましょう。「おいで」→「おすわり」→「ごほうび」の流れができると、戻ってきた後にその場でピタッと落ち着けるようになります。
楽しみながらマスター!おうちでできる「呼び戻しゲーム」
毎日のトレーニングを愛犬とのワクワクする遊びに変えてみましょう!
1. 「飼い主さんを追いかけっこ」ゲーム
部屋の中で犬と目が合ったら、飼い主さんが楽しそうに後ろ向きでタタタッと逃げます。犬が「待って〜!」と追いかけてきたら、「おいで!」と声をかけて到着した瞬間に全力で褒めてあげましょう。
2. おうちの中で「かくれんぼ」
家族に犬を少しの間保持してもらうか、静かに別の部屋へ移動してドアの裏や家具の陰に隠れます。「おいでー!」と呼んで、愛犬が探しながら見つけに来てくれたら「見つけてくれてありがとう!」と大オーバーに喜んでごほうびをあげてください。
3. 家族で「呼び合いリレー」
家族2人以上で離れて座り、交互に愛犬の名前と「おいで」を呼びます。呼ばれた人のところへ移動するたびにごほうびがもらえるため、ゲーム感覚で大喜びで戻ってくるようになります。
【重要】外での練習は「室内より100倍慎重に」行おう!
室内で100%できるようになっても、外でいきなりリードを外すのは絶対にNGです!
外は車や他の犬など、命に関わる危険がたくさんあります。地域の条例や施設のルールを必ず守り、必ず「ロングリード」を装着して安全を確保した状態で練習してください。
【外での練習ステップ】
1. 人通りや刺激の少ない、静かな公園の隅などでスタート
2. ロングリードを伸ばし、室内と同じように数歩の距離から呼ぶ
3. 成功したら、室内以上の「大好物のおやつ」で盛大に褒める!
4. 戻ってきたらごほうびをあげて、すぐに「遊んでいいよ!」とお散歩を再開する
⚠️ ロングリードの注意点
ロングリードは犬を力づくでグイグイ引き寄せるための道具ではありません。万が一どこかへ走っていかないための「命綱」として使い、あくまで自発的にこちらへ戻ってくるのを待ちましょう。
これだけは避けて!呼び戻しで「絶対にやってはいけないこと」
呼び戻しのトレーニングにおいて、逆効果になってしまう絶対NGな行動です。
- 1. 来るのが遅かったからといって、戻ってきた愛犬を叱る
「何度呼んだら来るの!」と怒りたくなる気持ちは分かりますが、犬からすると「頑張って戻ったのに怒られた」となり、「おいで=怒られるから行かない」と固く決意してしまいます。どんなに時間がかかっても、戻ってきた瞬間は笑顔で褒めてあげてください。 - 2. 「おいで」の合図を連呼・大声で叫ぶ
連呼すると合図の価値が下がります。呼んでも反応しないときは、叫ぶのをやめて飼い主さん自身が愛犬の近くまで歩み寄り、難易度を下げてあげましょう。 - 3. 捕まえた途端に速攻で帰宅・リードをつけて終わりにする
呼ばれて行くたびに楽しいお散歩が終わってしまうと、賢い犬ほど「絶対に行くもんか」と抵抗します。呼んで褒めたら、再度「行ってよし!」と遊ばせる回数を増やしましょう。 - 4. 嫌なこと(爪切り・シャンプー・お薬など)の前に「おいで」を使う
お手入れや苦手なことをするときは「おいで」のコマンドを使わず、飼い主さんが静かに迎えに行って抱っこしてあげてください。
うまくいかない時のチェックリスト
「なぜか失敗してしまう…」というときは、以下の表を参考に練習環境を見直してみましょう!
| お悩み | 見直したいポイント・解決策 |
| 室内でも呼んでも来ない | 距離が遠すぎるかも。1〜2歩の距離に戻し、まずは名前への反応からやり直そう |
| おやつを見せないと来ない | おやつを手の中に隠し、「来たら後ろからおやつが出てくる」順序に変更しよう |
| お外に行くと全く無視される | 刺激が強すぎるサイン。人や犬がいない静かな場所・時間帯を選んで再挑戦 |
| 呼ぶと逃げてしまう | 呼ばれた後に嫌なことが続いていたかも。「おいで=おやつがもらえるだけ」の練習を増やそう |
| 首輪をつかもうとすると逃げる | 首輪に触れてごほうびをあげ、すぐ解放する「タッチ練習」を単体で行おう |
急に反応しなくなった時は「体調の変化」を疑って!
これまで完璧にできていた子が、急に名前や「おいで」に反応しなくなった場合は、わんちゃんからの体調不良のSOSかもしれません。
- 名前を呼んでも耳が動かず、音全般への反応が薄い(聴力低下の可能性)
- 呼び戻しに応じようとするが、立ち上がるのが辛そう(関節痛やケガの可能性)
- 全体的に元気がなく、食欲もない
- 急に怯えるようになったり、触ろうとすると威嚇する
このような症状が見られる場合は、しつけで解決しようとせず、速やかに動物病院を受診してください。
よくある質問(FAQ)
子犬の頃から教えられます。まずは室内の近い距離で、名前を呼んで飼い主を見る練習から始めましょう。
成犬や保護犬でも練習できます。これまでの経験や生活環境によって時間がかかる場合がありますが、愛犬が成功しやすい条件から始めることが大切です。
回数を一律に決めるよりも、犬が集中できる短い練習を何度か行う方法がおすすめです。犬が疲れたり、興奮しすぎたりする前に終え、成功した状態で練習を終えることを意識しましょう。
まずは、おやつを使って「来るとよいことがある」と教えることが大切です。安定してきたら、おもちゃ、ほめ言葉、再び遊べることなど、犬が喜ぶごほうびも組み合わせていきましょう。ただし、難しい環境では、価値の高いごほうびを使う必要があります。
何度も「おいで」と繰り返さず、犬に近づいて距離を短くするか、刺激の少ない場所へ移動しましょう。呼び戻しが不安定なうちは、ロングリードなどを使い、安全を確保しながら練習してください。
呼び戻しができる犬でも、外で必ず戻ってくるとは限りません。交通量のある場所や囲いのない場所では、リードを外さないことが基本です。リードを外す場合は、施設のルールを守り、安全に囲まれた場所を選びましょう。
まとめ|「おいで=世界でいちばんハッピーな合図」に育てよう!
犬の呼び戻しトレーニングは、一朝一夕で完璧になるものではありません。
- 最初は静かなお部屋で、超至近距離からスタートする
- 「おいで」で戻ってきたら、最高のごほうびと笑顔で褒める
- 戻ってきた後、すぐに楽しいことを終わらせない
- 失敗しても絶対に叱らず、無言で距離を縮めて難易度を下げる
- 外ではロングリードを使って、安全第一で練習する
「大好きな飼い主さんが『おいで』って言ってる!走っていったら絶対にイイコトがあるぞ!」
愛犬がそう信じて笑顔でダッシュして戻ってきてくれる未来を目指して、今日から焦らず楽しみながら、絆を深める練習を始めてみてくださいね!
犬のしつけの基本や、家族でルールを統一する方法、愛犬が喜ぶ褒め方についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひこちらの親記事も参考にしてくださいね。
※この記事の作成について 現役ペットシッターへの取材・アドバイスを参考に、犬の飼い主が実践しやすい形でまとめています。呼び戻しができないことに加え、急な行動変化、強い恐怖、攻撃性、体調不良が見られる場合は、自己判断せず動物病院や認定ドッグトレーナー等の専門家へご相談ください。